実際の導入例および論文のご紹介

MBTI関連記事

「メンタルヘルス対策に有効なMBTI」
(園田由紀)

出典:「職場のメンタルヘルス 100のレシピ」(発行:JPP株式会社、2006年12月)

Q 最近、よくMBTIという心理検査のことを耳にしますが、どのようなものなのですか。また、MBTIを用いることがなぜ、メンタルヘルスに有効なのでしょうか。

A MBTI(R)(Myers-Briggs Type Indicator)は性格検査の一種ですが、受けた人の性格を測定診断することが目的ではなく、回答結果をきっかけとして、一定の訓練を受けた有資格者(認定ユーザー)の支援のもと、受けた本人が自身についての理解を深めてゆくほうに力点がおかれます。 MBTIは、いまから約50年前に米国人の母娘(K. BriggsとI. Myers)によって、「人の手に利き手があるように、心にも自然と用いる「利き心」がありそれが人の多様性を生成している」としたスイスの精神科医ユング(C.G. Jung)の心理学的類型論(タイプ論)をベースとして開発されました。現在は日本版を含め25カ国語に翻訳され、世界の45カ国以上で年間500万人以上が受検している、世界で最も利用されている検査メソッドです。米国ではフォーチュン誌選定ベスト100社中、約7割の企業の研修場面で利用されています。

<MBTIの理論と構造>

MBTIのベースとなっている考えは次のとおりです。人の基本的な心の働きには、情報を集める知覚機能とそれらの情報から何らかの結論を導きだす判断機能があり、知覚機能には、見たり聞いたり観察したりするいわゆる五感をもとに情報を集める感覚機能と、ひらめきや関連性またパターンなどから情報を集める直観機能があります。一方の判断機能には、対象から距離を置き原理原則に照らし合わせて結論を導く思考機能と、対象の中に自分を位置づけて自分の思いや価値観、気持ちなどと照らし合わせて結論を導く感情機能があります。そしてこれらの機能を働かす心のエネルギーの向きが2通り、個人の外界で用いられる外向と内界で用いられる内向があります。さらに日常生活のなかで、外界にその場その場で臨機応変に対応する知覚的態度と、外界を体系だって対応する判断的態度があります。私たちは、これらすべてを用いてものごとを捉え判断し行動するということを日常的に繰り返していますが、どちらかというとそれぞれ2通りのうちの一方がその人にとって自然で、他方より優位に使用する方があり、それぞれ優位にする方同士が相互に知覚と判断を繰り返し、その人のものの見方や判断の仕方のパターンを形成する、としたのです。この心のパターンが個人にとって自分の利き手のように、あまりに自然でかつ当たり前すぎることから、そのパターンに気づくことなく、他者も自分と同じパターンで捉えているものと自然と思い込んでいることから、他者とのコミュニケーションの行き違いを引き起こすことが多くあるといわれています。

< MBTIとメンタルヘルス>

メンタルヘルス不調を未然に防ぐために必要不可欠なことは、なにより的確な自己理解・自己認識がなされていることです。通常、特に日本人は、自分の性格を理解しようとする、自分と他者との比較がベースとなることが多く、そのため自分固有の性格を認識しにくいだけでなく、歪んだ自己理解や他者理解をしてしまうことがあり、不必要に自信をなくしたり、他者と張り合ったり、自分も他者も誤解したりすることが多々あります。MBTIは、人と比較しない、その個人固有の性格にだけ焦点をおき、さまざまな演習を通じながら、自分の心の利き手を自分で探していきます。そして自分のタイプと心の利き手がわかると、自分の特有の認知方法や、対人関係、コミュニケーション、課題解決およびリーダシップスタイルについても理解が促進され、自分のタイプの強みと成長の指針などを的確に把握することができます。このように、自分の持ち味を自分のみに焦点をあてて理解することで、自分を受容することができ、同時に他者に対する歪んだ見方も是正されることから、他者を肯定的に受容することも可能にします。
変化の激しい現代社会において、MBTIは、自分と他者を的確に認識し、人間関係を改善する見方や個人がもっている力を最大限に生かすための見方を提供してくれる、メンタルヘルス対策に有効なメソッドといえます。

諸外国のMBTIエキスパートによるMBTIに関する論文

日本MBTI協会認定MBTIアドバンスユーザー(レベル2有資格者)による論文

MBTI関連記事

医療とMBTI

トップにもどる