実際の導入例および論文のご紹介

「学生の自己理解援助に役立つMBTI」
(E大学カウンセリングセンター)

出典:Japan-APT ニューズレター №1

 MBTIフォロー研修は、各タイプの違いが際立ってくる絶妙なワークで構成されていた。

参加者は他の参加者に自分自身とそのタイプを正確に理解してもらおうと思いがけないほど真剣に話し、相手のタイプを知ろうとあれこれ問いかけてしまうのだった。この熱くなる感じがフォロー研修の大きな特徴と言えるように思う。そして、私はタイプの違いによって心的体験がこんなにも違うのかという驚きと不思議な思いを通して再度「MBTIは奥が深い、おもしろい」という確認をした。

 私の勤めているE大学カウンセリングセンターは、E大学に在籍している学生のための相談機関である。カウンセラーである私たちは、以前からすべての学生たちに安心して実施でき、自己理解と進路選択に役立つ、しかも私たちの部署らしい特色を持った性格検査を探していた。その過程で、アメリカの大学で広く用いられているMBTIが日本でもユーザー資格を取得すれば利用できるという情報を得、MBTIの世界に足を踏み入れることになった。とはいえ、学生のためにMBTIを使いたいと思ってからユーザー資格を取得するまでの期間が一年以上あり、大変長く感じたことを覚えている。

 私たちは、2001年度からカウンセリングセンター主催で「自己理解のためのMBTIワークショップ」を行っている。2001年度には年間13回、2002年度には11回実施し、各回の参加人数は8名としたのでこの2年間で200名近い学生がワークショップを体験した。私のほかに二名のカウンセラーが認定ユーザー資格を取っているので、人員的にはゆとりを持ってワークショップの運営にあたっている。ワークショップ直後のアンケートから、学生たちにとってMBTIを用いての自己理解援助が大変有効であることがわかり、MBTIが日本の学生たちにも役立つツールであることが確認されたように思う。

 このように私たちはワークショップ形式でのMBTI利用が学生たちに役立っているという自信を深めつつあり、これを踏まえ将来的にはMBTIをひとつの核にして学生が自分のキャリア形成に主体的に考えていく力をつけるような組織立てられたプログラムを開発したいと考えている。

 さて、私が実際のワークショップ運営にあたって心がけているのは、まず自分を肯定的に捉えられるようになり、多様なタイプの人たちがいることを不議と驚きをもって理解し、しかも今後も自己と他者理解を進めていきたいと思ってもらえる形の体験を提供することである。しかし何よりも、私が楽しんでいるように学生たちにもMBTIを楽しんでもらいたいと願って進めている。

 最後になるが、同じ観点で人間の心理と行動を見つめ、同じ用語で話しあうようになった人たちがたくさんいて、全国でMBTIを使って“楽しく”働いていることを、今たいへん面白く感じている。

日本におけるMBTIの導入事例

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